「心から“やりがい”をもって、モデレーションにのぞむ姿が頼もしい」── スマートニュース株式会社

国内外のニュースから、日々の暮らしに役立つ情報まで。幅広いコンテンツを届けるニュースアプリ『SmartNews』を運営するスマートニュース株式会社では、ユーザーの声に耳を傾け、より良い体験を届けるためのリサーチを継続的に行っています。
アイディエーションは、そんな取り組みを支えるリサーチパートナーの一社として、これまで定性・定量の両側面から数多くのプロジェクトでご一緒させていただきました。
今回、同社のマーケティングチームの谷川温子さんに、アイディエーションをパートナーに選ばれた理由や、プロジェクトを進めるなかで印象に残ったこと。そしてアイディエーションの強みについて話を伺いました。聞き手は、アイディエーションの坂田優馬です。
ユーザーの“生の声”を、グロースの起点に
── 今日はよろしくお願いします。はじめに、谷川さんの業務内容について教えてください
谷川さん:
マーケティングチームにおいて、コンシューマーインサイトを扱うリサーチを担当しています。ユーザーの声をもとに、サービス改善や新しい価値づくりにつなげることが私のミッションですね。
ここ1〜2年ほどは、アイディエーションさんのような調査会社にご依頼するリサーチとは別に、社内でもユーザーインタビューを定期的に行うようになりました。サービスのPOC(実証実験)を行う際などに、インタビューで得られた示唆をクイックに反映する。そんなサイクルが少しずつ定着してきています。

(▲)スマートニュース株式会社 Senior Marketing Strategy & Insights Associate 谷川温子さん
── 会社全体で「ユーザーの声をしっかり聞こう」という機運が高まっているんですね。
谷川さん:
そうですね。社内でユーザーインタビューを行う際には私がモデレーターを務めていますが、プロダクトやエンジニア、デザイナーなど、さまざまな職種のメンバーが同席してくれます。ユーザーの声を直接聞くことで、レポートを読むだけでは得られない“実感”や“納得感”が生まれる。その価値を多くのメンバーが感じてくれているように思います。
── 確かに、その場にいることで気づけることは多いですよね。一方で、そうした内製のリサーチが進む中で、どんな時に私たちのような調査会社に依頼をされるのでしょうか?
谷川さん:
自分たちである程度の仮説を立てて検証する場合は、社内で完結できることが多いと思います。ただ、そもそも仮説が定まっていなかったり、どこから手をつけるべきか分からなかったりする時。あるいは、抽象的なテーマを構造化したい時などには、アイディエーションさんのような調査会社に相談させていただいていますね。
曖昧で複雑な課題に向き合う時にこそ、外部の専門的な視点が大きな助けになると感じています。
調査の上流から、活用のその先まで
── では、ここからはアイディエーションとの取り組みについて聞かせください。まず、アイディエーションにご依頼いただいたきっかけは何だったのでしょうか?
谷川さん:
最初は、知り合いからの紹介でした。IT領域のリサーチに強く、抽象度の高いテーマでもクライアントの意図を丁寧にくみ取り、きちんと設計に落としてくれる会社だと聞いて。それが依頼の決め手になりました。
ネットで調査会社を探すと、UX調査やユーザビリティテストを専門にしている会社はたくさん見つかるんですが、その枠組みを超えて、もう少し上流の段階から一緒に考えてくれる会社はどこなのかがわからなくて。ちょうど知り合いからのおすすめもあったので、「それなら一度相談してみよう」と思ったのがキッカケでした。
── 実際にご一緒してみて、印象に残っていることはありますか?
谷川さん:
最初にお願いしたのは、ブランドに対する“信頼”をテーマにした定性調査でした。抽象的なテーマにも関わらず、こちらの意図を的確にくみ取って、調査設計にまで落とし込んでくださったのが印象的でしたね。
最初の打ち合わせでは、私以外にもさまざまな部門のメンバーが同席して、それぞれが考えていることをお伝えしたのですが、それを上手く整理して提案してくださったのも、とても心強かったです。

谷川さん:
特に、タイプ分けや構造化の部分では、アイディエーションさんの強みを強く感じました。自分たちでやろうとすると、「本当にこれでいいのか?」と迷うことも多いので、専門的な視点から提案いただけるのは本当にありがたかったです。
調査後のレポートも非常にわかりやすく、そのリサーチに直接関わっていない人が見ても、内容が一目で理解できるようになっているのが印象的でした。今でも当時のレポートを社内で参照することがあるほど、継続的に活用させてもらっています。
── レポートのクオリティは、私たちが特に力を入れている部分です。リサーチで得られた示唆を活かしていただくためにも、社内で報告会の練習を毎週行い、レポートのデザインや報告の仕方についてフィードバックしています。そのため、今でもレポートを活用いただけているのは、とても嬉しく感じます。
心に残った、モデレーションへの向き合い方
── デプスインタビューでは、私たちのほうでモデレーションを担当させていただきました。モデレーターの質については、どのように感じられましたか?
谷川さん:
事前段階でのインタビューフローをしっかり設計してくださるのはもちろんなんですが、調査目的のすり合わせで目線が合っているからか、インタビュー中もこちらが深掘りしたいポイントを自然に掘り下げていただいたのが印象的でした。
インタビュー調査をしていると、「今のは少し誘導だったのでは?」とか「そこはそんなに深掘らなくてもいいのに」と感じることもあったのですが、そうした違和感はまったくなかったですね。進行がとてもスムーズで、見ていて安心感がありました。
それから、対応がとても柔らかいですよね。インタビュアーって、端的に質問を投げかけながらも、相手から多くを引き出すことが大切だと思うのですが、そのバランスがとても上手だなと感じました。
── そこは私たちがモデレーションを行ううえで、特に意識している部分ですね。バイアスをかけずに、どれだけ端的に質問を投げかけられるか。また、時にはこちらの仮説を相手にぶつける必要もありますので、純粋想起から助成想起への流れなどはかなり意識して設計しています。
谷川さん:
あとは、ポジティブな意味で、「インタビューするのが本当に好きなんだろうな」とも感じました。
ユーザーの意見を聞いたり、引き出したりして、それをクライアントに届けること自体を楽しんでいるように見えました。リサーチを仕事として割り切るのではなく、心から“やりがい”を持って取り組まれている。ご一緒させていただく相手として、その姿勢が頼もしかったです。
それと、対応の速さにも本当に助けられました。見積もりやスケジュール調整など、「一度、持ち帰ります」となるような場面でも、すぐに返答をいただける。レスポンスが早く、スピード感をもって動いてくださるので、プロジェクト全体がスムーズに進みました。
── ありがとうございます。アイディエーションのクレドには「すぐする、すぐすむ」という言葉があり、スピード感を持った対応を全社で心がけているので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。
リサーチの“その先”を、共に描いていく
── 最後に、今後のリサーチで注力していきたいテーマや、アイディエーションへの期待について教えてください。
谷川さん:
やはりテーマとしては、「リサーチから得られた示唆を、どうサービスのグロースに活かすか」ですね。
たとえばユーザーニーズを定性調査で把握して、その結果をもとに新しいサービスアイデアをコンセプト化して定量調査で検証するのですが、利用意向が想定より伸びないことがあります。得られた示唆をどうプロダクトやサービスに落とし込むのかは、難しいですよね。
その“つなぎ方”をどう設計するかが、いま一番の課題だと感じています。アプリの行動ログなどのデータも組み合わせながら、よりリアルなユーザー理解を立体的に描くことも必要だと感じています。リサーチをリサーチで終わらせず、サービスの成長にどうつなげていくか。そこが今後、最も問われてくる部分ですね。
── リサーチの“実施”から“活用”までを一気通貫でつなぐことが、これからのテーマなんですね。

谷川さん:
はい。そうした中で、アイディエーションさんとは、調査から得られた示唆をもとに、プロダクトアイデアやコンセプト開発といったフェーズまでご一緒できたらありがたいです。さらに、そこで生まれたアイデアを定量調査で検証するなど、仮説の創出から検証までを一気通貫で進められると理想ですね。
── ありがとうございます。ちょうどアイディエーションでも、調査結果の報告だけでなく、得られた示唆をもとにしたアイデア提言や、リサーチの“その先”を共に描く取り組みに力を入れているところです。そうした部分でも今後ご一緒できたら嬉しいです。本日は、お話を聞かせていただきありがとうございました。
坂田 優馬このコラムを書いたモデレーター
