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「GoToトラベルキャンペーン」利用実態調査 結果発表
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「GoToトラベルキャンペーン」利用実態調査
コロナウイルス感染症を気にしながらも「GoToトラベルキャンペーン」を利用する実態が明らかに
【調査背景・目的】
2020年7月24日より「GoToトラベルキャンペーン」がスタート。10月1日からは東京都も解禁になり、全国的に「GoToトラベルキャンペーン」が始動。「GoToトラベルキャンペーン」の利用実態とコロナウイルス感染症の影響を把握するため調査を実施した。
この調査は、2020年10月12日(月)~13日(火)の期間、全国の20代~60代の男女を対象に実施。また、総務省統計局発行の「第1表 年齢(各歳)、男女別人口及び人口性比―総人口、日本人人口(平成28年10月1日現在)」に基づいてウエイトバックを実施した。
「GoToトラベルキャンペーン」の認知度
「GoToトラベルキャンペーン」の認知度を見ると、全体として「GoToトラベルキャンペーン」の認知率は97%に上り、
性・年代別で見ても、9割以上の認知率と、大きな差は見られなかった。(図1)
「GoToトラベルキャンペーン」の利用状況
「GoToトラベルキャンペーン」の利用状況については、「すでに利用したことがある(予約をしている)」は22%、「利用したい(予約はしていない)」は30%となり、「GoToトラベルキャンペーン」の利用意向は52%と半分以上を占める結果となった。
一方で、「GoToトラベルキャンペーン」を「利用するつもりはない」層も37%と一定数いることが分かった。(図2)
性・年代別の利用状況を見ると、どの年代も2割以上が利用経験者であることが分かる。
中でも50代男性は、「GoToトラベルキャンペーン」の利用経験者の割合が32%と最も高い結果となった。(図3)
訪れたい地域ランキング
「GoToトラベルキャンペーン」を利用して訪れた・訪れたい地域を聴取した。
全体として北海道、京都府、沖縄県、東京都は年代を問わず人気となっている。
年代別では、20代の石川県、30代の長野県・宮城県、40代の群馬県、50代の静岡県、60代の大分県と、全体で人気の4都道府県以外の「訪れたい地域」に特徴が見られた。
ここからはあくまで我々の見解だが、
20代の石川県については、「金沢21世紀美術館」や「茶屋街」など“映えスポット”が人気となっていることが要因となっているのではないだろうか。
30代の長野県・宮城県については、「ウィンタースポーツ、温泉や名産品(戸隠そば・牛タン)等を楽しみたい」というような「地域の良さを堪能したい」という考えがあることが推測できる。
40代の群馬県、50代の静岡県、60代の大分県は温泉地として共通しており、
また、50代・60代に関しては神奈川県が上位にランクインしていることから、日頃の疲れを癒しゆっくりと旅行したいと考える傾向にあるのではないか。
このように年代別で訪れたい地域を見てみると、年代ごとに旅行での目的や趣味・趣向がうかがえるのではないかと我々は考える。(図4)
居住地域別で見てみると、居住地域周辺への旅行が多い傾向にあることが分かる。
ただし、10月から「GoToトラベルキャンペーン」が解禁となった東京都からは、様々な地域に行きたいという考えが表れており、訪れたい地域に偏りが見られない結果となっている。(図5)
「GoToトラベルキャンペーン」を利用するなら節約派?豪華派?
「GoToトラベルキャンペーン」を利用するにあたり、「節約派」または「豪華派」のどちらの気持ちに近いか聴取した。(④旅行回数のみ、「節約派」を「回数派」とした)
全体を見ると、「①ホテル宿泊費用」「②目的地」「③交通手段のグレード」の3項目では、「節約派」が多く、費用を抑えた旅行をする傾向があった。一方、性・年代別で見ると、特に50代・60代の女性は、「①ホテル宿泊費用」「②目的地」の項目において、「豪華派」の割合が多い事から、今まで行けなかった旅行先や価格の高いホテルに宿泊したいという傾向が強く出ている。
また、「④旅行回数」では「豪華派」の方が多く、性別で比較すると、女性は「豪華派」が多いことが顕著に表れた。(図6)
「GoToトラベルキャンペーン」の利用状況別でみると、「GoToトラベルキャンペーン」利用経験者は「①ホテル宿泊費用」「②目的地」の項目で、「豪華派」が多い傾向にあり、「GoToトラベルキャンペーン」を利用して豪華な旅行を楽しんだことが分かった。(図7)
「GoToトラベルキャンペーン」の利用時におけるコロナウイルス感染症への意識
「GoToトラベルキャンペーン」を利用するにあたっての、コロナウイルス感染症への意識を見ると、全体としては、「気にする」は44%、「やや気にする」36%となっており、80%の人がコロナウイルス感染症へのリスクを気にしていることが分かった。(図8)
性・年代別でみると、男性よりも女性の方がコロナウイルス感染症を「気にする」と答える割合が高いことが分かる。
また、20代・50代男性のコロナウイルス感染症を「気にする」と答えた割合が比較的低い結果となった。(図9)
「GoToトラベルキャンペーン」の利用状況別で比較すると、利用経験者のコロナウイルス感染症を「気にする・やや気にする」割合は73%、利用意向者のコロナウイルス感染症を「気にする・やや気にする」割合は83% であることから、コロナウイルス感染症を気にしながらも「GoToトラベルキャンペーン」を利用した・したいと考えている傾向が強いことが分かった。(図10)
また、居住地域別でみると、東京都在住者は、他の地域と比べ、コロナウイルス感染症を「気にする」割合が低いことが分かった。(図11)
過去の国内旅行頻度
普段の旅行の頻度について見てみると、50代・60代は、30代・40代の子育て世代と比べて、過去3年間の国内旅行回数が多い。
これは推測だが、年齢が高い人(子育てが終わった人)ほど、金銭的にも時間的にも、旅行をする余裕が生まれるためではないだろうか。(図12)
過去の国内旅行頻度をグループ化し、それぞれの「GoToトラベルキャンペーン」利用状況を見ると、過去の国内旅行頻度が高いほど、利用経験者の割合が高く、過去の国内旅行頻度が低いほど、非利用意向者の割合が高くなっている。(図13)
「GoToトラベルキャンペーン」に関する是非
「GoToトラベルキャンペーン」についてどう思うかを聴取したところ、全体として、「よい取り組みだと思う」は46%、「よい取り組みだと思わない」は29%となっており、良い取り組みだと考える人の割合が高い結果となった。(図14)
「GoToトラベルキャンペーン」について、「良い取り組みだと思う」と答えた人の「GoToトラベルキャンペーン」の利用意向が高いことが分かる。
一方で、「よい取り組みだと思わない」と答えた人でも38%は「GoToトラベルキャンペーン」の利用に前向きであることが分かった。(図15)
「GoToトラベルキャンペーン」の是非について、その理由を自由記述式で聴取した。
自由記述をポジティブ意見とネガティブ意見に分けて、要素ごとにまとめると以下のような結果になった。(図16)
要素ごとに、代表的なコメントを抜粋して紹介する。
ポジティブ意見
■経済活性化・地域活性化
|
■観光業界を活性化できる
|
■お得に旅行ができる
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■旅行意欲が高まる
|
■気分転換できる
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ネガティブ意見
■感染リスクに懸念がある
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■不平等・不公平
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■興味なし・無関心
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■時期尚早
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■制度に問題あり
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みんなに聞いた!!あなたが考える「GoTo○○」
「GoToトラベルキャンペーン」以外に、どのようなキャンペーンがあれば利用してみたいか自由記述式で聴取した。
その他 スタディ(習い事・スクール・試験・職業訓練・塾)、美容(エステ・ビューティー)、ホビー、アウトドア(レジャー・登山・山小屋)、体験、オフィス(ワーク・副業)、宝くじ、散歩、カラオケ、投票(vote)、マネー、住宅展示場、救済、休暇、酒造、スポーツジム、ゲーム、おひとり様、茶会、バーチャル ※音楽コンサート、スポーツ観戦、伝統芸能、演劇、美術館、博物館、映画館、遊園地・テーマパークは「GoTo イベント」に含まれるため集計対象外とする。 |
「GoToトラベルキャンペーン」を不公平という意見も多かったことから、みんなが平等に利用できる「ショッピング」や「乗り物割引」という意見が多くみられた。(図17)
「GoToショッピング」のように、誰もが利用できる「買い物」での割引があると良いという意見が多くみられた。外食を控え、スーパーでの買い物が増えたことで、日用品や衣服が安く買えると助かるという声があった。
次いで、「GoTo 乗り物割引」「GoToドライブ」のように、「交通費」の割引があると良いという意見が多くみられた。
コロナウイルス感染症の流行前後で生活はどう変わった?
以下の10項目について「上がった(増えた)」か「下がった(減った)」を聴取した。
•自宅での快適度
•自宅での食事の満足度
•家族と過ごす時間
•仕事や学びの質
•健康への意識
•ストレス
•デリバリー、持ち帰りの利用頻度
•食費(内食、外食含むすべての食費)
•趣味や遊びに費やすお金
•収入
全体として、「健康への意識」・「ストレス」・「家族と過ごす時間」が増加しており、「趣味や遊びに費やすお金」・「収入」が下がっていることが分かる。(図18)
また、男性よりも女性の方が、「ストレス」・「食費」が上がったと答える割合が高くなっており、中でも、40代女性は、「ストレス」・「食費」が増えたことに加え、「収入」が下がっていることが分かる。
子育て世代は、子供の学校休校やオンライン化などによって家庭内での過ごし方の変化を強いられ、また、パートやアルバイト、不正規雇用も多い層ということから、コロナウイルス感染症の影響が働く環境や場所、機会に及んでいることが考えられる。(図18)
「GoToトラベルキャンペーン」利用状況別で見ると、「利用意向者」は利用経験者と同等に「食費が増加」しており、「収入」に関しては他と比べて減少していることが分かる。(図19)
これはあくまで推測だが、「GoToトラベルキャンペーン」の利用意向者(=利用したいと考えているがまだ利用(予約)していない)は、「コロナへの懸念」や「旅行への興味」という理由以外に、「旅行資金がない」という理由を持ち合わせている可能性があり、結果的に「利用しない」というパターンも考えられる。
総括
「GoToトラベルキャンペーン」の認知率は97%とほとんどの人が知っている結果となった。
また、男女間のコロナウイルス感染症への意識の違いや影響の受け方などが年代別で見ても異なる結果となり、「GoToトラベルキャンペーン」の利用にも影響していることが分かった。
東京都とそれ以外の地域に住んでいる人では、コロナウイルス感染症に対するリスクの意識が異なっており、旅行先の選択にも影響していた。さらに、年代別でみると20代は主要都市での旅行をする傾向にある一方、30代~60代は比較的郊外へ旅行する傾向がみられた。世代により旅行に求めるものが異なるということが考察できた。
50代・60代は普段の旅行頻度が他の年代に比べ高いことが分かった。自身に費やす時間やお金に余裕があるため、「GoToトラベルキャンペーン」の利用経験者の割合が高いのではないかと推測できる。
また、「GoToトラベルキャンペーン」の是非については、利用状況での違いが顕著に表れ、利用意向が高い人ほど「良い取り組みだと思う」と答えた割合が多かった。
しかし、一方で「良い取り組みだと思わない」と答えた人の理由としては、「コロナウイルス感染症のリスクの高まり」や「経済力の違い・業界を絞った施策に対する不平等・不公平」という意見が多くみられた。
以上のような意見もあったことから、「あなたが考えるGoTo 〇〇」では、誰もが平等に利用できる「ショッピング」や「乗り物割引」があると良いという意見が多かった。
コロナウイルス感染症を「気にする」と答えていても「GoToトラベルキャンペーン」を「利用した・したい」と答えることから、旅行業界の復興に繋がっていると言えるが、「GoToトラベルキャンペーン」利用経験者は豪華志向にあったため、低価格帯の宿泊施設には恩恵がないのではという懸念も残った。
また、コロナウイルス感染症の第3波が懸念される今、「GoToトラベルキャンペーン」の見直しとともに、新たな経済復興施策を考えなければならない時期にきているのではないか。
本調査で明らかになった「ショッピング」割引など、生活をしていく上で身近な買い物での割引があれば、コロナウイルス感染症のリスク軽減とともに経済復興につながるのではないかと考える。
調査概要
調査対象:全国20代~60代の男女
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2020年10月12日(月)~13日(火)
有効回答数:本調査772サンプル
調査主体:株式会社アイディエーション
本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
広報担当:柿沼、坂田
TEL:03-4405-3324 FAX:03-4446-1071
e-mail:info@ideation.co.jp
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