【リサーチ初心者向け】インタビュー調査の基礎知識や調査の流れを解説

どのような手法と手順で進めると効果的なの?
インタビュー調査は、アンケートなどの定量調査だけではつかみきれない、生活者の本音やインサイトを深く掘り下げられる手法です。新規事業や商品開発、プロダクト改善、マーケティング戦略など、幅広い場面で活用されています。
一方で、「インタビュー調査といっても、実際にはどんな種類があるの?」「どんなときに使えば効果的なの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
そこで今回は、インタビュー調査の基本的な考え方から、代表的な手法ごとのメリット・デメリット、そして実施の流れや押さえておきたいポイントまでを、アイディエーション代表・白石が解説しました。
多様なシーンで活用されるインタビュー調査
インタビュー調査は様々な目的で実施されており、ここでは代表的なシーンを3つ紹介します。
(1) 顧客の実態把握
顧客の属性や行動、価値観を深く理解することで、説得力のあるペルソナをつくったり、既存のペルソナをアップデートしたりできます。
(2)ユーザーエクスペリエンス(UX・UI)の改善
Webサイトやアプリの使い勝手をユーザー目線でフィードバックしてもらうことで、UIの改善点やUX全体の質を高めるヒントが見えてきます。
(3)カスタマージャーニーの設計
ユーザーがどうやって購入や意思決定に至るのかを可視化し、実態に即したカスタマージャーニーを描けるようになります。
インタビュー調査の代表的な手法と使い分け
インタビュー調査には大きく分けて「デプスインタビュー」と「グループインタビュー」の2つがあります。それぞれ特徴や向いているシーンが違うので、目的に応じて使い分けることが大切です。

■ デプスインタビュー
ひとりの調査対象者とじっくり向き合うインタビュー形式です。インタビュー時間は60分から90分が一般的です。
<向いているシーン>
・カスタマージャーニーを細かく追いたいとき(例:知る→検索→来店→体験→購入)
・金融資産や病気、転職など、センシティブなテーマで本音を聞きたいとき
<実施の形態>
最近はオンラインでのインビュー実施が主流です。コスト効率もよく、オフラインに比べても効果の差はほとんどありません。
■ グループインタビュー
複数人の調査対象者に同席してもらい、意見のぶつかり合いや同調からアイデアを引き出す形式です。参加人数は3名から6名、グループあたりのインタビュー時間は90分から120分が一般的です。
<向いているシーン>
・商品やブランドのコンセプトの評価
・新しい商品の体験評価(例:新作ゲームのプレイ体験)
・複数人が意見交換をすることで生まれるグループダイナミクスから、新しい発見を得たいとき
<実施の形態>
オンラインの場合は3〜4名がベストです。スマホ参加だと画面が小さく進行に制約があるため、人数を絞る方がやりやすいです。オフラインでは「ミラールーム(マジックミラー付きの観察室)」を利用して行うことが一般的です。
インタビュー調査のステップと注意点
インタビュー調査を成功させるには、ただ場当たり的に質問を投げかけるだけでは不十分です。企画から設計、参加者の募集、実査、そして結果の整理まで、一連の流れをきちんと踏むことが大切です。
(1)企画・調査設計
「誰に、何を聞くのか」を明確にし、デプスインタビューかグループインタビューかといった手法の選定、実施人数や予算の配分を決めていきます。
(2)インタビューフロー作成
企画・設計が固まったら、実際のインタビューでどんな流れで話を進めるかをまとめたインタビューフローを作成します。いわば“シナリオ台本”のようなものです。インタビューの前半には、属性や価値観、ライフスタイルなどのプロファイリング項目を置くのがおすすめです。参加者の背景を最初に押さえておくことで、その後の回答の理解が深まります。

(3)対象者をリクルーティング
募集に際しては、インターネットリサーチ会社のパネルを対象に募集をかけるケースが多いですが、知人ネットワークや企業の顧客リストを使う場合もあります。参加者には報酬を設定するのが一般的で、スクリーニングアンケートを通じて条件に合う人を選抜していきます。このとき、対象者の条件をなるべく具体的に定義することが大切です。
(4)インタビューを実施
インタビュー時には、モデレーター以外のメンバーからの追加質問を柔軟に拾える環境にすることが大切です。オンラインならチャット、オフラインなら付箋を使うなど、進行を妨げずにリクエストを反映する工夫が役立ちます。ただし、予定している質問と重複しないよう、あらかじめフローを読み込んでおくことが重要です。
(5)デブリーフィングと調査レポートの作成
インタビュー終了後は、依頼主と調査会社の間で感想や所見を共有し、そのうえでレポートの方向性をすり合わせます。そうすることで、依頼主自身の気づきを積極的にレポートに盛り込みながら、社内で共有・活用しやすい形にまとめることができます。
準備と設計が“気づき”の深さを決める
インタビュー調査は、対象者の声を深く掘り下げ、本音やインサイトを明らかにできる調査手法です。ただし、準備や設計をおろそかにすると、せっかくの調査も断片的な気づきにとどまってしまうことがあります。
だからこそ、「誰に何を聞くのか」を明確にし、目的に合った手法を選び、適切な流れや参加者を設計することが重要です。今回紹介した基本的なステップを意識することで、調査の質を高め、実務で活かせる成果につなげられるはずです。調査会社をうまくパートナーとして活用しながら、自社にとって最適な調査を実行してみてください。
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