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【リサーチ初心者向け】WEBアンケート調査の基本と進め方を解説

WEBアンケート調査って、どう始めればいいの?

WEBアンケート調査は、サービスの満足度把握や生活者の実態把握、新商品のニーズ探索など、幅広いシーンで活用される、マーケティングリサーチの基本的な手法です。

一方で、リサーチの経験が少ない方にとっては、「どこから手をつければいいのか?」「調査会社に依頼する際、何を伝えればいいのか?」といった不安や迷いがつきものではないでしょうか。

そこで今回は、アイディエーション代表・白石が、WEBアンケート調査を進めるうえでの基本ステップや、事前に押さえておくべき重要なポイントについて、実務目線でわかりやすく解説しました。

WEBアンケート調査における3つの方法

まず、企業がWEBアンケートを集める方法は以下の3つがあり、それぞれの特徴や活用シーンを紹介します。

(1)アンケートモニターを保有する会社に依頼する
アンケートモニターパネルとは、企業が市場調査やアンケート調査を行う際に、調査対象となる個人を調査会社がリクルートできるプラットフォームのことです。通常、モニターパネルは、調査会社などが募集するアンケート会員(パネリスト)に登録した人々によって構成されています。

この手法の大きな利点は、短期間で大量の回答を集められること、そしてバイアスの少ない調査が可能になることです。

たとえば、自社のメルマガ会員やECサイト登録者などを対象とした調査では、自社に好意的な層が中心となるため、結果に偏りが生じやすくなります。また、「自社サービスを使っていない理由」を知りたい場合など、自社と接点のない層にリーチすることもできません。

その点、さまざまな属性のパネリストが揃っているアンケートモニターパネルを活用すれば、より中立的かつ多様な視点を得ることが可能になります。ただし、調査ごとにコストが発生するため、予算面での検討も必要になります。

<オススメの利用シーン>
市場調査、競合調査、トレンド調査

(2)自社で保有する顧客リストに向けて実施
こちらは、自社のメルマガ会員やECサイト登録者など、既存の顧客リストを対象にWEBアンケートを実施する手法です。自社内で完結できるため、コストを抑えやすい点が大きなメリットと言えます。

現在では、アンケートの作成から配信、集計までを簡単に行えるツールが数多く登場しています。Googleフォーム、Questant、SurveyMonkeyなど、無料・有料を問わず、多様な選択肢があります。

こうしたツールを活用して顧客の声を収集することは、非常におすすめです。商品やサービスに対する感想・フィードバックの募集はもちろん、新商品のアイデアのヒントを得ることにもつながります。顧客の声を起点とした取り組みは、より顧客視点に立った商品・サービス開発へとつながっていくでしょう。

<オススメの利用シーン>
顧客満足度調査、ユーザーニーズの把握、コンセプト評価

(3)SNSでアンケート回答者を募って実施
こちらは、自社で運用しているSNSアカウントのフォロワーに向けて、アンケートへの協力を呼びかける手法です。こちらも、自社内で完結できるため、コストを抑えやすい点が大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、自社で保有する顧客リストと同様、自社に好意的な層が中心になるため、調査結果に偏りが生じやすい点には注意が必要です。また、SNSでは回答者の属性情報(年齢・性別・地域など)を正確に把握することが難しく、属性に基づく分析を行いづらいという課題もあります。

そのため、設問数の多い本格的な調査や、正確なデータ分析を前提とする調査にはあまり適していません。一方で、ファンやフォロワーの声をカジュアルに拾いたいときや、アイデアの種を探りたいときには、有効な手法の一つとして活用できます。

<オススメの利用シーン>
パッケージデザイン案やネーミング案の簡易投票、キャンペーンや新商品のアイデア募集

パネル調査サービスを選ぶ際のポイント

では、アンケートモニターを保有する会社に依頼する場合、どのようにパネル会社を選べばよいのでしょうか?
パネル調査サービスには、主に以下の2種類があります。それぞれの特徴と、サービス選定時に押さえておきたいポイントについて解説します。

・セルフ型とは?
セルフ型とは、パネル会社が提供する専用ツールを使い、自社でアンケートの設計・配信・集計までを行う調査手法です。比較的低コストかつスピーディーに実施できるのが特徴で、設問数が少なく、シンプルな調査に適しています。

ただし、設問設計や対象条件の設定などを自分たちで判断する必要があるため、リサーチ経験が少ない場合は注意が必要です。

・委託型とは
委託型は、調査会社にアンケートの設計から配信、集計、場合によってはレポーティングまでを依頼するフルサポート型の手法です。専門家が設計を担当するため、より精度の高い調査設計・実施が可能となります。

調査対象の条件が複雑な場合や、設問ロジックを組み込む必要がある場合にも柔軟に対応でき、リサーチに不慣れな企業や、精度重視の調査におすすめの手法です。ただし、セルフ型と比べるとコストは高めになります。

<まとめ>
・コストを抑えてスピーディーに実施したい場合は、セルフ型が有効
・調査設計の精度や専門的な視点を重視したい場合は、委託型が安心
・リサーチ経験や目的、調査の難易度に応じて使い分けるのが重要

アンケート調査を行う際の具体的な流れ

委託型のパネル調査サービスを提供する調査会社にWEBアンケートを依頼する場合、主に次の3つのステップを踏んで進行していきます。

(1)調査の企画を固める
まずは、調査の背景や目的を明確にし、「誰に・何を聞くべきか」を整理します。この段階で重要なのは、調査結果をどのように活用するのかを明確にしておくこと。活用シーンが曖昧なままだと、設問設計や対象者の設定にブレが生じやすくなります。
また、調査会社に依頼する際は、現時点で把握している情報をできるだけ具体的に共有することが、的確な提案を受ける鍵となります。

(2)アンケートの配信・回収
作成した調査票をもとに、調査会社がアンケート画面を制作します。その内容を確認し、設問や文言、分岐などに不備がないかをしっかりチェックしましょう。
問題がなければ、事前に設定した条件に沿って、モニターパネルへの配信が実施されます。
この段階では、対象者に偏りが出ていないか、回収の進捗が順調かどうかを確認する視点も大切です。

(3) 集計ソフトを活用し、レポート作成
調査終了後は、調査会社から提供される集計ソフトやローデータを活用して結果を分析します。このタイミングでは、単に数値を眺めるだけでなく、どのような示唆や発見が得られるかを読み解く視点が求められます。
必要に応じて、レポート作成や考察支援を調査会社に依頼することも可能です。特に社内報告や意思決定の材料として活用する場合は、ビジュアルやストーリー性を意識したアウトプット設計が効果的です。

最適な手法と設計が、リサーチの価値を高める

WEBアンケート調査は、設計の精度や配信方法によって、得られる結果の信頼性が大きく変わります。だからこそ、調査の目的を明確にし、適切な手法を選ぶことが、質の高いリサーチへの第一歩です。

今回ご紹介した基本ステップや手法の違いを参考にしながら、自社にとって最適なアンケートの形を設計してみてください。調査会社をうまくパートナーとして活用することで、より深い示唆につながる調査を実現できるはずです。

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